私の魂が喜んだ映画

はじめまして。魂を動かされた映画や動画を勢いで書くブログです。

「声もなく」Netflix 映画 韓国版「誰も知らない」かな

Netflixにて韓国映画「声もなく」見ました。

 

出演は「生きている」「地獄が呼んでいる」などではお馴染み、特に「生きている」では金髪の坊主頭の青年だったユ・アイン氏が主演です。

 

ざーっくりストーリーが以下になります。

ネタバレですからね〜⭐️

 

 

アイン氏が演じるテインは口がきけません、声は出ますが発語できない青年です。

ユ・ジェミン(また出演されてますね、もうお馴染みすぎるくらいお馴染み)氏演じる足が不自由なチャンボクと共に卵の移動販売をするかたわら、反社会勢力の後始末を請負うことで生計を立てていました。

ある日、その反社のキムから人を1人預かるよう依頼されます。

本来は反社が傷めつけて殺してしまった人を埋める仕事が彼らの主な仕事なのですが、

今回は渋々、1日だけという条件で請け負います。

 

言われた場所に迎えに行くと、そこにいたのはウサギのお面をつけた少女でした。

戸惑いながらも彼女を預かるため家に連れて行くテイン。

その少女は親に身代金の要求をしている途中のようで非常に賢い少女・チョヒ。

 

チョヒを泊めるように言われ、家に戻るテインとチョヒ。

テインの家にいた薄汚れた少女も誘拐の被害者かと思われましたが、テインの妹でした。

チョヒは良く躾けられた女の子で、自分より年下の少女を気遣ったり、

家の中を整えたり、親がいない家庭で育ったテイン兄妹には別世界のような整った生活を再現させてみせます。

その心地よさを知って安息感を覚えるテイン。

 

しかし身代金の要求に応じず「弟と間違えた」と支払いを渋っている親とは全く折り合いもつかないまま、

テインの家で束の間の楽しげな日々を送る4人(テイン・妹・チャンボク・チョヒ)。

 

ある日、身代金をとりに単身でかけたチャンボクはうっかり階段で足を踏み外し転倒し、階段でひっそりと息を引き取ってしまいます。

 

あらかじめメールで「もし作戦が失敗したらチョヒを(ある場所へ)連れていけ」という指示をされていたテイン。

死亡したチャンボクとは連絡が取れないため仕方なく「人身売買」を請負う夫婦のもとにチョヒを連れて行くことに・・・。

焼酎と乳酸菌飲料を混ぜたものを飲ませられた何人かの子供が力なく横たわっている中、不安でしがみつくチョヒを仕方なく置いていくテイン。

諦めて焼酎を飲まされるチョヒ。

 

しかしテインは帰宅途中に急に思い立ってチョヒを迎えに行きます。

自転車で人身売買人の車に追いつき子供達を奪い返し、チョヒもつれてかえります。

 

でもチョヒはその晩、家に鍵がかかっていないことに気がつき逃げ出そうと試みるのですが道に迷ってしまいます。

その途中で出会ったのが挙動不審のオッサン。

怖くなって握られた手を振り払って逃げるチョヒ。

 

実はその人は「気持ち悪いやばい人」のように見えて非番の警察官だったのですが、

酔っ払っていたため挙動不審に見えただけでした・・・。

やがて暗闇の中でテインと出会ったチョヒはテインの家へと連れ戻されるのです。

 

酔っ払い警察官の通報で「少女が道に迷って困っている」と連絡を受けた婦人警官が

テインの家を訪ねてきます。

トイレに行っているチョヒの存在を隠そうとパニクったテインは婦人警官を押し倒し、その時に警官は運悪く頭を強打して倒れ気絶してしまいました。

彼女が死んだを思ったテインとチョヒはいつもの通り死体を埋めるのでした。

 

そのうちチョヒがいなくなったと連絡を受けたチンピラがテインの家を探しにやってきますが、妹を謝って攫おうとした時、死んだはずの婦人警官が息を吹き返し彼女を守り警察へ連絡をし、倒れます。

その間、実はテインはチョヒを連れてチョヒの通っていた小学校へと行っていました。

担任の教師は心配していたと泣き崩れ抱きしめてくれますがテインのことをチョヒに聞き「誘拐犯だ!!捕まえて!」と叫ぶのでした。

脱兎の如く走って逃げるテインは泣きながら走り続けました。

 

チョヒを迎えにきた両親に深々と頭を下げて挨拶をするチョヒ、そして弟の手を握ったまま駆け寄ろうともしない父親、泣きながら走ってくる母親。。。

テインは家に戻ると4人で撮影した写真を見つけます・・楽しかった4人の日々・・。

 

といった内容です。

 

書くと長いなー!

でも途中飽きることなく見られました。

テイン役のユ・アイン氏が言葉は発せなくとも不器用で、乱暴だけど芯は優しくて・・というなんとも朴訥というかいい味なんですよ、つい見ちゃう。

 

「赤ん坊の時に拾って育ててやった」とチャンボクは言ってましたが(話は盛られてるよ、きっと)

一応家もものすごくボロくて田舎にあっても、なんとか生活はギリギリできるという感じですし、母親か父親がいたことはあったのでしょうね。

 

「きちんと家を整える」。

それをしたことも、見たことも教わったこともない妹。

 

服の畳み方や、食事はテーブルでするのだということや、

目上の人から食事に手をつけるなど韓国の礼節を初めて教わり、それを目の当たりにしてもしかしたらテインは母親のようなものをチョヒに見たのかもしれません。

ここにも「貧困と無教養」の罪が。

 

貧困だから死体処理を「悪いこと」とは少し感じつつも生きるためにやらねばならない。

チャンボクとテインの古くからの関係はわかりませんがいつからか、親のいない兄妹を彼が面倒を見ていたのかもしれません。

身代金の要求の手紙をチョヒに書かせたのも彼らは難しい字を書くことができないのではないでしょうか。(読むことはできる、メールを読める)

言葉を話せない、片足が悪い、貧困であることが学習を奪い、仕事を選ぶこともできず、反社の下請けという辛い仕事をせざるを得ない心優しいチャンボクとテイン。

 

日本では「誰も知らない」という映画もありましたがあの感じ。「万引き家族」とか。

どうにもならない、どうにかしてあげたい、なんとも言えない葛藤を見るものに与える良い映画だと思います。

おそらく教師の通報とテインの家にウサギのお面があることできっとテインは捕まるでしょう。

話はできないから自白はなくても、

たとえチョヒが擁護をしようとも誘拐の事実は変わらないのですから。

 

残忍なシーンはあまりないですが、基本的に「誰も知らない」とか無理って人は無理です、多分ですが・・。

テインの素朴、粗暴、優しさ、色々なことがすごく胸を締め付けてくる映画でした。